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クエ『死の扉、先に待つものは』のネタバレ含みまーすよ。
『先だって見付かった28階東側の通路に
調査隊を送りたい。
腕の立つレンジャー求ム!』
二人のレンジャーは、その依頼書をじっと見つめていた。
いつもなら報酬目当てにすぐにでも依頼書をもぎ取って酒場の主人の下へと直行するところだが、今回ばかりはいつもと同じ雰囲気というわけにはいかなかった。
28F…6層は、正に死の迷宮と呼ぶに相応しい場所だった。
幾重にも入れ組んだ迷路のような道、行く手を塞ぐはいずれも凶悪な攻撃手段を持った魔物ばかり。歴戦の死闘をくぐり抜いてきた当ギルドのメンバーでさえ、少しでも気を抜いたら即全滅に至る危険性を抱えていた。
そんな只でさえ危険な場所に、他ギルドの仲間がいると言えど、たった一人向かわせるのは危険すぎるというもの。命を落とす可能性も秘めているのだ。
「…これはちっと危なすぎるからなあ。やっぱ、今回は俺が行くわ
沈黙を破るように、緑髪のレンジャーが苦笑い混じりに口を開いた。
それを聞いたもう一人の…黄緑にも近い、金髪のロングヘアーをたなびかせたレンジャーは、その端正な顔をしかめた。
「しかし…君はギルドのリーダーだろう。
リーダーがこんな危険に身を投じるのは賛成できないが
「でもなあ、お前さん戦いは得意じゃないんだろ?
万一魔物と遭遇したらどうするよ?
「それぐらいなら、警戒歩行で何とかなると思うが
「でもFOEが来たらどうする?いや…そんなもんじゃないな。
あの先には、もっと…恐ろしくて、途方もない力を持った何かがいる…そんな感じがするんだよ
緑髪のレンジャーは珍しく、険しい表情をしながら呟いた。
それに金髪レンジャーが何か返答しかけようとすると、それを遮るようにぱっと笑いつつ言葉を続けた。
「…まっ、あくまで推測だけどな!そゆわけで、俺が行くわ。いいだろ?
「しかし
「いいから残ってろって。万一お前さんの身に何かあったら、俺がお前の姉さんに何か言われちまう。それに…お前さんがいなくなったら、一体誰が人間とモリビトの架け橋になるって言うんだよ?
その言葉を聞いた金髪レンジャーは、ふとはっとしたかと思うと、そのまま何も言い返せなくなってしまった。
…かつてここではない、もう一つの世界樹で起こった出来事。それは人間と彼ら一族の間に大きな溝を作り、その亀裂が入った関係は未だ修復の余地を見せてはいなかった。だが、彼は一族の反対を押し切り、外の世界へとやってきた。同じ大地に住まう者同士…人間とモリビトが共存できる、そんな未来を夢見て。
「お前さんいつも言ってただろ?ヒトとモリビトの関係を少しでも支えられるなら何でもするって。それができるまでは故郷に帰らないって。その誓いを果たす前におっ死んじまってもいいのかよ?
「…だが…私は追放されたも同然だ。私が死んでも、一族は何一つ困らないだろう…
「そういうこと言うなって!お前の姉さんだって本当は心配してるに決まってるじゃないか。その為に、その貰った羽根だって大切に取っておいてるんだろ?
そう言って帽子に挿した黄金色の羽根を指す。
普通のレンジャーなら持ってはいない、高貴な色と毛並みをなびかせる黄金色の羽根。それは彼ら一族の守護神の一部であり、一族と認められた者にしか持つことは許されない。売れば相当の高値がつくだろうが、彼は売らずにずっと大切にその羽根を持っていた。
「なあ、だからお前さんは生きろ。生きて、ちゃんと誓いを果たしてくれ
…その言葉は、まるで自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
そう…彼もまた、モリビト達に関わった当事者だった。本来ならば、架け橋となり、自らの責任と罪を負いたいと願っているのは彼らなのだ。
その切実な眼差しに根負けしたように、金髪レンジャーはふっと溜息をつくと、かぶりを振った。
「…君がそこまで言うのなら仕方が無い。
だが…そういう君こそ、ちゃんと生きて帰ってくるのだぞ。
君の命は、もはや君だけのものではないのだからな
念を押すようにそう言うと、緑髪レンジャーは苦笑いを浮かべた。
「ははっ…なーんか見透かされちまってるなあ。
だーい丈夫だって!今までだって何とかやってこれたんだし、
こんな依頼の一つや二つで死ぬかっての!
「…本当に危なっかしい発言だな。
まあ君が言う限り大丈夫なんだろうが…やはり不安だな
「なんだよーそんなに俺って信用ない?何なら約束すっか?
そう言って、拳を握ったままの右腕を突き出す。
「…なんだ?これは
「ん?まあ、何てゆーか…約束の合図、みたいなモンかな。
カタチだけにでもしとくと、なんか格好つくだろ?
「そうか…人間は約束をする時いつもそうするのか?
「お、おう!まあ大体そーだな?
「…今、疑問符が付かなかったか?
「い、いや気のせいだって!いーから信じろって!;
「………まあ、君がそう言うなら。覚えておこうか
金髪レンジャーもまた、同じように右手の拳を突き出し、彼の拳を合わせる。
虹竜ノ月5日、ある酒場の一角での、あるレンジャー達のささやかなやり取りだった。
調査隊を送りたい。
腕の立つレンジャー求ム!』
二人のレンジャーは、その依頼書をじっと見つめていた。
いつもなら報酬目当てにすぐにでも依頼書をもぎ取って酒場の主人の下へと直行するところだが、今回ばかりはいつもと同じ雰囲気というわけにはいかなかった。
28F…6層は、正に死の迷宮と呼ぶに相応しい場所だった。
幾重にも入れ組んだ迷路のような道、行く手を塞ぐはいずれも凶悪な攻撃手段を持った魔物ばかり。歴戦の死闘をくぐり抜いてきた当ギルドのメンバーでさえ、少しでも気を抜いたら即全滅に至る危険性を抱えていた。
そんな只でさえ危険な場所に、他ギルドの仲間がいると言えど、たった一人向かわせるのは危険すぎるというもの。命を落とす可能性も秘めているのだ。
「…これはちっと危なすぎるからなあ。やっぱ、今回は俺が行くわ
沈黙を破るように、緑髪のレンジャーが苦笑い混じりに口を開いた。
それを聞いたもう一人の…黄緑にも近い、金髪のロングヘアーをたなびかせたレンジャーは、その端正な顔をしかめた。
「しかし…君はギルドのリーダーだろう。
リーダーがこんな危険に身を投じるのは賛成できないが
「でもなあ、お前さん戦いは得意じゃないんだろ?
万一魔物と遭遇したらどうするよ?
「それぐらいなら、警戒歩行で何とかなると思うが
「でもFOEが来たらどうする?いや…そんなもんじゃないな。
あの先には、もっと…恐ろしくて、途方もない力を持った何かがいる…そんな感じがするんだよ
緑髪のレンジャーは珍しく、険しい表情をしながら呟いた。
それに金髪レンジャーが何か返答しかけようとすると、それを遮るようにぱっと笑いつつ言葉を続けた。
「…まっ、あくまで推測だけどな!そゆわけで、俺が行くわ。いいだろ?
「しかし
「いいから残ってろって。万一お前さんの身に何かあったら、俺がお前の姉さんに何か言われちまう。それに…お前さんがいなくなったら、一体誰が人間とモリビトの架け橋になるって言うんだよ?
その言葉を聞いた金髪レンジャーは、ふとはっとしたかと思うと、そのまま何も言い返せなくなってしまった。
…かつてここではない、もう一つの世界樹で起こった出来事。それは人間と彼ら一族の間に大きな溝を作り、その亀裂が入った関係は未だ修復の余地を見せてはいなかった。だが、彼は一族の反対を押し切り、外の世界へとやってきた。同じ大地に住まう者同士…人間とモリビトが共存できる、そんな未来を夢見て。
「お前さんいつも言ってただろ?ヒトとモリビトの関係を少しでも支えられるなら何でもするって。それができるまでは故郷に帰らないって。その誓いを果たす前におっ死んじまってもいいのかよ?
「…だが…私は追放されたも同然だ。私が死んでも、一族は何一つ困らないだろう…
「そういうこと言うなって!お前の姉さんだって本当は心配してるに決まってるじゃないか。その為に、その貰った羽根だって大切に取っておいてるんだろ?
そう言って帽子に挿した黄金色の羽根を指す。
普通のレンジャーなら持ってはいない、高貴な色と毛並みをなびかせる黄金色の羽根。それは彼ら一族の守護神の一部であり、一族と認められた者にしか持つことは許されない。売れば相当の高値がつくだろうが、彼は売らずにずっと大切にその羽根を持っていた。
「なあ、だからお前さんは生きろ。生きて、ちゃんと誓いを果たしてくれ
…その言葉は、まるで自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
そう…彼もまた、モリビト達に関わった当事者だった。本来ならば、架け橋となり、自らの責任と罪を負いたいと願っているのは彼らなのだ。
その切実な眼差しに根負けしたように、金髪レンジャーはふっと溜息をつくと、かぶりを振った。
「…君がそこまで言うのなら仕方が無い。
だが…そういう君こそ、ちゃんと生きて帰ってくるのだぞ。
君の命は、もはや君だけのものではないのだからな
念を押すようにそう言うと、緑髪レンジャーは苦笑いを浮かべた。
「ははっ…なーんか見透かされちまってるなあ。
だーい丈夫だって!今までだって何とかやってこれたんだし、
こんな依頼の一つや二つで死ぬかっての!
「…本当に危なっかしい発言だな。
まあ君が言う限り大丈夫なんだろうが…やはり不安だな
「なんだよーそんなに俺って信用ない?何なら約束すっか?
そう言って、拳を握ったままの右腕を突き出す。
「…なんだ?これは
「ん?まあ、何てゆーか…約束の合図、みたいなモンかな。
カタチだけにでもしとくと、なんか格好つくだろ?
「そうか…人間は約束をする時いつもそうするのか?
「お、おう!まあ大体そーだな?
「…今、疑問符が付かなかったか?
「い、いや気のせいだって!いーから信じろって!;
「………まあ、君がそう言うなら。覚えておこうか
金髪レンジャーもまた、同じように右手の拳を突き出し、彼の拳を合わせる。
虹竜ノ月5日、ある酒場の一角での、あるレンジャー達のささやかなやり取りだった。
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