ふたりのヒトにあらざる者のやりとり

書く順番が逆だろとか突っ込まないようにｗ

…長。それでは、行って参ります

ふん、お前など追放したも同然。さっさと行くがいい、そして二度と帰ってくるな

…………

本気で出来るとでも思っているのか？人間との和解、ひいては交友関係を結ぶなど。
奴らは我々の神聖なる領域を侵したばかりか、同胞をも傷つけ大きな傷を残しつつも、この偽りの地でのうのうと暮らしている。その罪、簡単に許すことなどできん。お前も知っているはずだ

…確かに、許されることではないかもしれません。
けど長、貴女がその考えのままでは、何も変わりはしませんよ？

何が言いたい！？私に非があるとでも言いたいのかッ！！

そうではありません。
考えてもみてください…あの事件より、我々を縛り付ける古き盟約の主は去りました。しかし…自由の身となって早１年、我々は未だに世界樹の中に留まり、冒険者としてやってくる人間たちと変わらぬ抗争を続けています。中には無為な争いに疲れ果てている同胞たちもいることを、長もご存知のはずでしょう

くっ………

もはや時代の流れは風向きを変えています。今の我々にとって必要なのは和解です。この世界樹と、人間たちの住む街をより良い環境にし、共に生きてゆくことだと、私は思うのです

人間どもと共に生きるだと？ふん、今更そんなことが出来るわけが…

出来るはずです。同じ大地に住まう生きとし生ける者同士、解り合えないはずがない。
長…貴女だって知っているはずです。人間たちの中にも、優しく手を差し伸ばしてくれる者たちがいることを―

！！う、うるさい黙れ！

―………

さっさと消え失せろ！二度と私の前に顔を見せるな！！

分かりました…………
…長。

なんだ、まだ減らず口を叩く気か！

私は…この故郷と、仲間たちを愛しています。一族たちの未来を、明るいものに紡ぐために…私なりに力を尽くしたい、そう想っているからこそ出ていく決心をしたのです

…………。

…それだけは知っていて欲しかった。それでは…

………………待て！

…！これは…

餞別だ。それを持ってさっさと行け

しかし…これは、確か…最後の１枚では

だからこそ持って行けと言っている！
それくらい我ら一族の誇りが残っているというなら適当な解釈をしてみせろ！！

！………ありがとうございます。この身離さず、お預かりします

………ふん！

それでは…………さようなら、姉さん

……
…………
………………………ふん。
馬鹿な弟めが。